ソリューション営業における顧客動線設計の優れた事例: ”オークマ工塗”

ソリューション営業における顧客動線設計の優れた事例: ”オークマ工塗”

 

ググったら「問題解決型塗装業」が出てきてビックリ 

しばらく前に、これからはソリューション営業の支援に絞って活動していくつもりだと書きました。

多くの企業がソリューション提供に一生懸命になっていますが、その目的は、お客様の「問題を解決」することにより自社の「付加価値」を認めてもらい、自社の生産性を向上させる(同等のインプットでより多くのアウトプットを獲得する)ことです。

このことをもう少し深く考える手がかりを得ようと、「問題解決」と「付加価値」という二つのキーワードでググったら、なんと 塗装で機能を付加したい方/塗装問題解決の提案|株式会社オークマ工塗 というリンクが ”9番目” に出てきました!

今までこの種のキーワードで個別の企業名が(しかも中小企業が)これほど上位に出てきた経験が無いのでびっくりしてしまい、内容を調べてみました。

そこで分かったのは、この会社はモノ売りの世界での顧客動線設計に相当することを非常にうまくやっているということです。(動線とは – 流通用語 Weblio辞書 参照)

上記のキーワードで引っかかるだけのことはあって、オークマのホームページはいきなり「問題解決のご提案」で始まります。そこで提案されている問題解決は、以下のようなものです。

  • 問題1 ほこり・ごみ不良でお困りの方
  • 問題2 塗装で機能を付加したい方
  • 問題3 塗装が初めてで塗装の提案が欲しい方
  • 問題4 焼き付け塗装でお困りの方
  • 問題5 小ロットでお困りの方
  • 問題6 一緒に表面処理開発をしていきたい方
  • 問題7 塗装のコストを適性にダウンしたい方
  • 問題8 とにかく急いで塗装をしたい方
  • 問題9 デザイン塗装(色彩・質感)でお悩みの方
  • 問題10 品質も含めた管理でお困りの方

このホームページで年間60件以上の新規顧客を開拓しているそうですから、パートを含めて社員20人足らずの企業としては、非常にうまくソリューション営業に成功していると言えるでしょう。

ホームページが人を惹きつけるのは「買い手の状態」を心得ているから

では、なぜこの会社はソリューション営業に成功しているのでしょうか?このホームページは「顧客の問題を解決」しているのでしょうか?

そんな訳はありませんよね。これで問題が解決できているのなら、顧客はそれ以上相談してこないはずです。

成功理由を理解するためには、売る側の理屈ではなく買い手の状態を理解する必要がああります。

以前にも述べたように、買い手が何かを購入するのは、自分の問題を解決するためであり、そこに至るまでに次の図の3つの段階を経ます。(ソリューション・セリング―賢い売り手になるための10の戦略: マイケル ボスワース 参照)

3つのレベルのニーズ

「ソリューション」という名の「モノ売り」をしていませんか?で述べたように、 モノ売りの世界では、顧客自身が自分の問題を理解しています。すなわち、レベル3に到達していて、自分が買うべきモノの品定めをしています。その結果、売り手は付加価値が訴求できず価格競争を迫られます。

それに対し、ソリューション営業の世界では、顧客が自分の問題を的確に認識できずにいます。図のレベル1あるいはレベル2の状態におり、売り手がそれをレベル3に到達させる工夫することにより付加価値をつけることができるのです。

このレベル1あるいは2からレベル2あるいは3に移行させるのに有力な手段が、参照事例です。

オークマ工塗は、自社が経験した事例を素直に掲示することで、顧客に「あっ、塗装に関してそんな問題があるんだ」、「でも、その問題は解決できそうだ」、「この業者さんは信頼できそうだから相談してみようかな」と思わせるのに成功しているのです。その結果、レベル2あるいは3に到達しオークマ工塗を信頼した顧客が、ソリューション・ビジョンを協同構築しようと相談しに来る訳です。

ここの動線設計が非常にうまくできています。

Webへの集客もうまくできている: SEOとプレスリリース

このように書くと簡単そうに聞こえますが、実際はそれだけではありません。

オークマ工塗のように比較的理解しやすいソリューションを数多くの顧客に売ろうとする場合は、上述のような効果的なWeb Siteを構築すれば効果が上がりますが、その前提として潜在顧客にリーチできることが必要となります。

オークマ工塗は この点でも優れています。

まず、「塗装」と「問題解決」でググったら、予想通りオークマ工塗が1位です。SEO対策がばっちりです。

さらに、この会社は数多くのメディアに紹介されています。(メディア紹介一覧

ところが、これは偶然ではなく意図的なのです。その種明かしは、メディアを動かすプレスリリースはこうつくる! (DO BOOKS): 福満ヒロユキ を読めば分かります。

この本の著者である福満さんの指導を受けて、効果的なプレスリリースを流しているのです。オークマ工塗物語  も、このような目的意識を持って書かれています。

ここまでは万全です。

集客方法を真似されても困らない参入障壁

しかし、ここまでがWeb上でうまくいくのは「塗装」に関する問題点が多くの人に理解しやすいからです。同時に、これは真似されやすいというリスクも孕んでいます。

オークマ工塗は、Webからリアルのコミュニケーションに移行した後での参入障壁もしっかり設けています。

まず、塗装の結果は人間の五感に触れるものなので、それを早期に確認させるための塗装ショールームの設置や、短時間での試作サービス単品塗装+最短90分塗装|試作塗装ドットコムの提供をしています。

さらに、顧客が他社で満足できなかった塗装機能を実現するために、塗料メーカーと協同で新たな塗料を開発しています。(最初に挙げたリンク 塗装で機能を付加したい方/塗装問題解決の提案|株式会社オークマ工塗 参照)

まとめ: 基本に忠実にやればWebを使った顧客動線が作れる

このように非常に優れたビジネスを展開しているオークマ工塗ですが、その考え方は基本に忠実です。

すなわち、以下のような要素をきちんとつなげて顧客を誘導する動線を組立てているのです。

  1. Web上での集客の工夫(SEO対策、プレスリリース)
  2. ソリューション営業のステップを理解した、問題発見を促しソリューション・ビジョン構築へ誘導するコンテンツ
  3. リアルの世界で顧客とソリューションを協同構築する際の参入障壁(ショールーム、短時間試作、塗料開発)

ソリューション・ビジネスを展開するというととても大変なことのように聞こえますが、優れた事例を見れば、基本に忠実にやれば良いことが分かります。

資源に限りのある中小企業のご参考になればと、紹介しておきます。

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