顧客価値の定義を問えば(Right Questionsができれば)大学院の講義も作れる

顧客価値の定義を問えば(Right Questionsができれば)大学院の講義も作れる

 

講義資料が作れず思い当たったこと

今日のお話しは、 Right Questionsができれば大学院の講義も作れる で予告した講義資料のうちの「顧客価値」の部分の作り方です。

去年の初夏に講義を作り始めたものの、正直なところ、この部分をどう構成したら良いのか見当がつきませんでした。

コンサルタントなので「クライアントがその顧客に提供すべき価値」については幾度も議論しているはずなのに、これはいったいどうしたことだろう?、と考え込んでしまいました。

しばらくして思い当たったのは、自分は顧客価値の具体例については議論してきているが「顧客価値」という言葉の意味を本当には理解していない、とうことです。人に説明しなければならないという状況に追い込まれて、初めてそのことが認識できたという訳です。

ジョゼフ・ジュベールという人が「教えることは、二度学ぶことである」と述べているそうですが、まさにその通りで有り難い経験をさせてもらっていることになります。

Right Question ができれば作業に落とせる

ということで、ここでのRight Questionは「顧客価値の定義は何か?」だったのです。

これが分かれば前に進めます。まず思いつくのは、代表的なマーケティングの教科書に当たれば良いということです。以前に中小企業B2Bマーケティングという資料を作ったときに参考にした以下の本を調べてみました。

これらの本の索引を調べてみて、思わず苦笑してしまいました。「顧客価値」が載っていないのです!

載っている語句は「売る側」からの視点の「顧客維持」や「顧客の生涯価値」等で、そもそもの始まりである「顧客側」から見た価値は、当たり前すぎるのか見当たりませんでした。

これでは埒が明かないので、「そもそも論」を論じているのは欧米の教科書だろうとコトラーのマーケティング・マネジメント -ミレニアム版-: フィリップ・コトラー を調べたら、さすがに以下のような定義が載っていました。

「顧客の受取価値とは、総顧客価値と総顧客コストの差である。総顧客価値とは、特定の製品やサービスに顧客が期待するベネフィットを総合したものである。総顧客コストとは、顧客が製品やサービスを評価、獲得、使用、処分する際に発生すると予測したコストの総計である。」

やっぱりコトラー大先生は偉い!なるほどこういう風に考えればいいんだ、と納得です。

ただ、これだけではこの先一歩も進めません。作業をするには、もう少し具体的に掘り下げた定義が必要です。

さらに調べて出会ったのが。ビジネスモデルのグランドデザイン: 川上 昌直に載っていた以下の図です。(この図は、戦略の経済学: デイビッド ベサンコ, マーク シャンリー, デイビッド ドラノブからの引用に手を加えたものだそうですが、元本は高いので入手していません。)

この定義は、通常は当たり前のことを七面倒くさく述べているだけと通り過ぎてしまう類のものですが、今回の講義作成目的のためには実に良くできたものとなっています。

本日の教訓

話が長くなってしまったので、これをどう使ったかは次回に説明することにして、今日は次の教訓で終わることにします。

  • ものごとを系統的に説明しようとする場合は、根幹となる概念の定義にまで遡るとこが有効です。ただ、このことに気づくのは結構難しいので、説明方法に困ったら「・・の定義は何か?」というRight Questionをすればよいことを覚えておきましょう。
  • 使用する定義は、目的に適したものであることが肝要です。目的次第で、普段はつまらないと受け止めている定義が大いに役立つことが多い、ということを理解しましょう。(通常であれば、私自身も図の定義に興味を抱かなかったと思います。)
  • 教科書等に定義を求めるときは、「そもそも論」から論じているものを選びましょう。

 

顧客価値定義

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